タミヤ 1/6 ホンダドリームＣＢ７５０

今回の出品は、タミヤ１／６ビッグスケールシリーズ（当初のシリーズ名です）の記念すべき第１作ホンダドリームＣＢ７５０です。こちらは1970年12月の発売ですから、かれこれ半世紀以上前のキットですね。流石に出品するのはそんな大昔のものではなく、当初の売りであった連結組み立て式チェーンから一体型チェーンに改定されたものです。この連結式チェーン、初版品を、貯めたお小遣いでようやく手に入れ、大苦戦しながらも何とか完成させ、「うわっ、本物みたい」って感動した遠い記憶があります。こちらには逸話がありまして、当時のタミヤさんはまだ今のような大企業ではなく、本作を担当した岡部和生氏も設計志望ながら中々配属させてもらえず経理業務の毎日でしたが、社長（今の会長）に提出する日報のスミに毎回「設計志望」と書いて提出していたそうです。閉口した俊作社長（当時）から、「じゃあ、やってみろ」とお許しを得た岡部氏、最初は助手的な仕事でしたが、すぐに上司の許しも得ずにどんどん設計を進め、社内金型部門共議論しながら、殆ど一人でこの超絶モデルを設計してしまいました。この時、岡部氏まだ２０代前半ですから、とんでもない天才だったんですね。もちろん、社長からは火が出るように叱られましたが、本人はやったもん勝ちと思っていたようです。お蔭で可動式チェーンを組み立てると言う当時では夢のような経験をさせてもらいました。それでも、模型は万人が組み立てられる事をモットーとする社長、増産ロットからは一体式（スプロケットに掛かる部分だけ別）のチェーンに変えられてしまいました。岡部氏はその後、伝説のプロター社に移り、ここでも伝説的なバイク模型を送り出しました。（エンジン内部迄再現されてました！）そんな天才の生み出したキット、実車も大人気だった事から空前のベストセラーとなりましたね。まず、その大きさ、電極板迄再現されたバッテリー、金属製のハンドルバー、綺麗なメッキマフラー、金属のダンハー、限界迄追い込んだエンジンの空冷フィン、スポーク等、枚挙にいとまがありません。当時ではかなり先を行っていたスーパーキット、是非一度作ってみてください。キットは大切に保管していましたが、経年、引っ越し等で日焼け、擦り傷、窪み等ありますが、パーツは全く問題ないと思います。デカールも近年、アフターサービスで取り寄せたものなので、十分使用できると思います。